ちょっとした恐怖
便所蝿ってご存じだろうか。もしかしたら、いやもしかしなくてもそんな名前のハエではないのだが、小さい頃から私は疑いもなくそいつをそう呼んでいた。
私が小学校低学年の時は、まだまだ木造校舎が主流だった。トイレは校舎から離れたところに幾つかあり、全てボットン便所だった。まあこの便所の怖いことといったら。大きく開いた便所の穴に、誰かに引きずり込まれて落ちてしまう想像をしながら、いつもドキドキしていたっけ。こういう場所から怖い話が生まれたとしても不思議ではない。
話を戻そう。その便所には必ず何匹かそいつはいた。銀蝿のように大きな羽音でブンブン飛び回っているのではなくて、大体が壁にへばりついていた。3㎜程度の大きさで、三つ葉のクローバーの葉っぱを1枚取ってしまったような形をしているハエだ。
そいつらが、引っ越し以来新居の風呂場にいて、毎日格闘するハメになってしまったのだ。風呂場のドアを開ける度に、多い時で10匹はいるのだ。もうゾッとする。引っ越してくるまでの何日間かは水を使わなかったので、恐らくはその時に繁殖したものと想像される。聞くところによると、そいつらはもの凄い早さで繁殖してしまうのだとか。
ジャムやチョコさんがいるのでバルサンでの撃退は無理だ。そこで、浴槽の隙間という隙間をラップで塞ぎ、キンチョールを目一杯吹き込んだ。しばらく時間を置き、これを3回繰り返した。
…あれから1週間。そいつを見ることは一切なくなった。私のちょっとした恐怖体験は一応は終焉を迎えた訳だ。
計算ミスにより、リビングのソファーとテーブルが、ドでかくて困り果ててしまったが、こうして暮らしていると、この大きさにもすっかり慣れてしまった。
ジャムも、高低差が出来たことが嬉しいらしく、毎日はしゃぎまくっている。
少しずつ、暮らしやすくなってきたよね。








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